有川ひろさんの著作、「イマジン?」のあらすじと感想をお伝えします!
軽快なテンポで綴られる文章の構成がとても読みやすく、物語の明るい雰囲気が、あなたを元気にしてくれます!
気分が落ち込んでいる時、きっと心の処方箋になってくれますよ。
Contents
読みたい本は心が教えてくれる

次に読む小説を探したくて、書店で新刊本を見て回っている時、あなたは何を一番の手掛かりに探しますか?
SNSやネット、人からの口コミなど事前情報を頼りにする人もいるでしょう。
でもぼくは、次の3つを重要視する情報として、購入する本を探します。
- 帯の紹介文
- 書店員さんのポップ
- 表紙から受けるイメージ
これを見て回って、「あっ、読みたいな……」と思った本を手に取ります。
そうすると、なんだか自分の心が「今読みたいストーリーはこれだよ!」と教えてくれているような気がするんです。
今回の「イマジン?」は、まさにそんな出会いでした。
青空が美しい雨上がりの、何かの撮影現場に向かって、資材を両小脇に抱えて勢いよく走り出す男の躍動感に溢れる表紙のデザイン。
そこに添えられた帯の紹介文。
「走るしか能のない新米 突っ走る! 行き先は、たぶん未来。」
引用 : 幻冬社 有川ひろ著 イマジン? 帯
この時のぼくは、自分の無力さや無能さを感じてマイナスな思考に押し潰されてしまいそうになるのをこらえて、新しいことにチャレンジしようとしていました。
そのための原動力が欲しいと思っていました。
そんな気分と、イメージがピッタリ重なりました。
「イマジン?」のあらすじ

良井良介(いいりょうすけ)は幼い頃からの夢は映像制作の現場に関わること。
しかしその夢は叶えられず、今はテッシュ配りのバイトで生活していました。
ある日ひょんなことで再会した強面の先輩佐々(さっさ)になかば強引の誘われたバイトに行くと、そこは制作会社「殿浦イマジン」が担当するドラマの制作現場。
現場未経験の良井は、走り回ることしかできないが、諦めていた夢へ向かって再スタートの道を歩みだします。
元気が出る! 心の処方箋

「イマジン?」は5章で構成されています。
各章でそれぞれの異なった制作現場が舞台となっていて、テレビの連続ドラマのようにストーリーが進行していきます。
そして良井をはじめ、「殿浦イマジン」のメンバーが成長していく姿が軽快なテンポと、全体的にポジティブな雰囲気で語られていくので読んでいて心地がよく、「自分も頑張ろう!」と思える作品です。
ただイマイチな点は、悪く言えば単調、良く言えば「これでもか!」というくらいにサクセスストーリーの王道でわかりやすいところです。
普段、ミステリーや伏線回収が巧みな小説を好んで読んでいる人には、少し退屈に感じるかもしれません。
でも、読み終わったあとに元気が出ます。
頭を使って読み進める物語も面白いのですが、仕事がうまくいかなかったり、失業したりして気分が落ち込んでいる時には「イマジン?」のような軽快且つ単純な、気軽に読める作品がいいんですよね。
こんなチームで働きたい! と思ってしまう理想の職場像
制作会社「殿浦イマジン」は人情に厚くて、金勘定が少しゆるい殿浦社長を中心として、ドラマや映画の撮影現場を下から支える、簡単にいうと雑務の全てを担当する会社です。
作中は、ほとんどが仕事現場のシーンで話しが進みますが、このチームがすごく素敵なんです!
主要メンバーそれぞれが、お互いを理解しあって共に泣いたり笑ったりと、本当の意味で一緒に仕事をしていると言えるようなチームが描かれています。
そしてみんな、仕事に情熱を持っている。
こんな職場で働きたいな、と思ってしまうようなチームです。
イマジン = イマジネーション?

撮影中のトラブルに対処するために、下っ端の良井も自分なりに考えて行動します。
どうすれば解決するか、どうすればみんなが気持ちよく仕事ができるか、想像力を働かせて走り回ります。
そんな良井に、殿浦社長はこう言います。
「そうやって想像すんのが大事なんだ。たとえ最初は見当違いでもな。自分が何をしたら相手が助かるだろうって必死で知恵絞って想像すんのが俺たちの仕事だ。」
引用 : 幻冬社 有川ひろ著 イマジン? 84項
そして、失敗したらちゃんと尻拭いをしてくれる。
自分の考えをしっかりと受け止めて、責任は取ってくれる。
そんな社長だから、社員も働きやすいんでしょう。
理想の職場たる所以です。
まとめ

今、世界は大不況の予感が現実になりつつあります。
コロナウイルスの影響で、会社の売り上げは急激に落ち込み、勤めていた会社が倒産したり、リストラにあったりして突如として職を失った人もいるでしょう。
厳しい就職活動を乗り越えて、やっと得た内定が突如として取り消された新卒生の皆さんに思いを馳せると、心が締め付けられるようです。
それ以外にも、パワハラやモラハラといった人間関係の悩みを抱えてしまった時は本当に辛いものです。
そんな、働く意欲がわかない時、次にどうしたらいいのかわからなくて辛い時、この本はオススメです。
気分が落ち込んでどうしようもない時には、「イマジン?」は処方箋になってくれると思います!
執筆者

前田ヒロシ
大阪府出身。追手門学院大学文学部卒。webライター。自身の悩みを解決するために哲学、心理学の本を読むうちに、得た知識を使って、夢や希望を持って働く人に貢献したい! と思うようになり、副業としてブログサイト「Interview with Dreamer」を開設。飲食店のブログページ運営のサポート業も手掛ける。趣味は、読書、映画、アニメ、ぬか漬け。