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川村元気さんの小説「億男」あらすじ感想を書きます。

宝くじで3億円の当選、してみたいですよね?

この本はみんなが抱く願望が、本当にかなった男の話です。

「お金と幸せ」というテーマで語られるこの物語は、ある種哲学的な読み方もできるとても良い本だと思います!


億男

この本を読もうと思ったきっかけ

お金のことについて勉強したいと思って、書店の本棚をぐるぐる回っていた日がありました。

自己啓発書の本棚、ビジネス書の本棚、ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグなど、いわゆる「富豪」と言われる人の名前がたくさん並んだ本棚……。

どれもパッとしないと思って、箸休めに小説のコーナーを見ていると、妙に惹かれる表紙の本が視界に飛び込んできました。

黄色い下地に、たくさんのお金をフォークで刺して食べる男の絵。

思わず手にとって、そのままレジへ。

それが、この「億男」という本との出会いであり、いくら進んでもゴールにたどり着けない複雑な迷路のような「お金」というテーマとの出会いでした。

この本のあらすじ

弟の借金を背負うことになり、妻と子供とは別居中。

昼は以前から勤め続けている図書館司書の仕事、夜はパン工場、と借金返済のために仕事を掛け持ちする生活をする一男。

ある日、宝くじの一等3億円が当選し、どうすれば良いかわからない一男は、事業が成功して大富豪になっている学生時代の友人九十九に会いに行く。

しかし、九十九は隙をついて現金3億円とともに失踪。

九十九と3億円を探すために、九十九の事業仲間で、それぞれお金持ちになっている十和子、百瀬、千住に会いに出かける。

彼らの大金を手にしたその後の話を聞きながら、九十九の居場所の手がかりと、「お金と幸せとは?」という問いの答えを探します。

感想

正直にいうと、この本を読んで「お金と幸せ」の答えが見つかるかと問われると、私はわかりませんでした。

ただし、考えるきっかけや、ヒントになることはありました。

人の悩みの3大テーマは「お金」「仕事」「恋愛」とも言われ、この中の一つの「お金」についての答えをそうそう簡単に見つけられるものではないような気がします。

でも、私はここが重要だと思いました。

「お金」についてわからないから勉強する。

「お金」が欲しいから努力する。

以前に読んだ、「星の王子さま」という本で語られていた、「何かに費やした時間が、それを尊いものにする」という考え方と絡めて考える必要があるのではと思います。

合わせて読みたい!

星の王子様のあらすじを簡単に紹介!名言集やうわばみの解説も!

好きな登場人物とその理由

  • 十和子 お金と愛とは
  • 百瀬  お金を稼ぐルール
  • 千住  お金と信用とは
  • 万佐子 お金と家族とは

それぞれの登場人物ごとに、お金と幸せについて4つのテーマで語られます。

所持している大金を隠し、ごく普通の暮らしと夫を愛することを選んだ十和子。

大金を手にすることで、周囲の人を信じることができなくなってしまい、お金を持っていることに恐怖心を抱えてしまった百瀬。

お金と引き換えに、親友の九十九を売ってしまったことの罪悪感から逃れられない千住。

大金よりも、家族の幸せという「明日への進むための欲」を選んだ万佐子。

それぞれのエピソードから、ヒントを得ることができると思います。

心に残ったシーン

大学で落語研究会に入っていた九十九の十八番は、「死神」です。

私も以前から好きな噺でした。

しかし考えてみれば、この噺もお金に目が眩んで大切なルールをやぶった男の末路を描いた話だったのだと思いました。

まとめ

この本をどんな人に読んで欲しい?

あなたがもし、日本人に多いと言われる「お金は卑しいもの」といういわゆる「嫌金思想」を持っていたとしたら、この本を読み、もう一度よく考えた方がいいかもしれません。

最近の心理学の研究では、ある一定まで(約800万円ほど)のお金は幸福感をもたらしてくれるが、それ以上は共感性が下がり人を信じることができなくなってしまう為に、幸福感が薄れていく傾向にあるという結果があります。

お金は「自由を手にいれるための道具」として考えるなら有用なものですが、「お金をたくさん持っていること」がそのまま幸福というわけではない、と分けて捉える必要があると思います。

この本での気づきや学び

お金のことについて考えるとき、他のいろいろな事と並行的に考える必要があります。

あなたは何のためにお金が欲しいのですか?

お金があったら何をしますか?

それとも、お金さえあれば幸せですか?

この次に読みたいこの作者の別の作品は?

川村元気さんの小説は、美しい文章表現から描かれるあるテーマについての問いかけがたくさん盛り込まれた、とても面白い作品ばかりです。

次は「世界から猫が消えたなら」を読みたいと思います。


億男 (文春文庫)

(執筆者:前田ヒロシ)

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