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川村元気さんの最新小説四月になれば彼女は」あらすじ感想をお話しします。

今回は「恋愛小説」とのことで、どんな作品だろうとワクワクして(ちょっと小っ恥ずかしさも感じながら)手に取りました!

するととても面白い!ちょっとイメージと違った「恋愛小説」でした。


四月になれば彼女は (文春文庫)

川村元気さんプロフィール

1979年生まれ。

上智大学文学部新聞学科卒。

『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『君の名は。』『天気の子』などの映画を制作。

2010年「Next Generation Asia」選出。

2011年「藤本賞」受賞。

2012年 初小説『世界から猫が消えたなら』を発表し、200万部超の大ベストセラーとなる。

2014年 絵本『ムーム』を発表し、映画化され、世界32の映画祭にて受賞。

2018年 初監督作品『どちらを』が第71回カンヌ国際映画祭短編コンペティション部門に選出。

抜粋 : 四月になれば彼女は 著者紹介

この本を読もうと思ったきっかけ

 

川村元気さんの小説を手に取るのは、すでに3冊目になります。

「億男」「百花」そしてこの「四月になれば彼女は」の順番で、いつも書店で見かけるたびに自然と手を伸ばしてしまいます。

どの作品にも共通して描かれているのは、「失われて初めて気付く尊さ」

そして、川村元気さんの作品群に惹かれてしまう理由は、文字を読んでいるだけなのに、風景、色や香り、人物像、表情や声まで感じられるような、優れた「情景描写」。

読み進めると、グングン作品の世界の中に引き込まれるような思いがします。

この本のあらすじ

 

おそらく、ジャンル分けをするならば「恋愛小説」になるのだと思いますが、読み終えた後、「恋愛小説」という言葉から受ける印象とはちょっと違った感じがしました。

この小説には「恋」が失われているように思いました。

そして、終盤にさしかかってやっと、主人公の藤代が失われた「恋」の大切さに気付くようなストーリーです。

大きく分けて、「大学時代の回想」とその時の恋人「ハルからの手紙」「現在」の3場面が交互に語られる形で物語は進みます。

1年後に恋人の弥生との結婚を控えている藤代のもとに、大学時代の初恋の相手だったハルから手紙が届くところから、物語は始まります。

藤代は、弥生のことが本当に愛しているのかどうかわからないまま結婚しようとしており、ハルへの淡い思いや、弥生の妹の純、友人のタスク、仕事の同僚の奈々といった、どの人も「恋」というものに冷めてしまっているような人々との交流から、徐々に弥生に対しての自分の気持ちを考えるようになっていきます。

感想

好きな登場人物とその理由

この作品の登場人物の中でもハルはとても印象的です。

藤代がいる写真部に入部してきた、新入生の彼女が撮りたい写真は「見えないもの」

そして、登場人物の中で、おそらく唯一「恋」を失っていないのだと思います。

自分の「好き」という感情に、正直に向き合うことができる女性だから、藤代を愛して、5年経った今でも心の奥に潜めているのだと思います。

共感した部分

少し前に、友人とこんな会話になったことがあります。

「恋愛がしょうもない、軽いものになってしまった気がする。」

一昔前、パソコンも携帯もなかった頃、誰か好きな人とデートの約束をしたら、その待ち合わせ場所に何が何でも必死で向かった。

急用ができても、風邪をひいて熱があっても、会わなければそのことを伝える手段がないから、とにかく家をでた。

けれども今は携帯電話があるから、電話一本で、いや、もっと簡単にメールやLINEで伝えることができてしまう。

夜に恋人と話したくなって電話をしようと思っても、自宅の電話しかないから、親が出るかもしれないと思うと勇気がいった。

けれども今はワンタップで、確実に相手につながる。

恋人が欲しいと思えば、マッチングアプリを使えば簡単に異性と出会うことができる。

色々なものが便利になり、豊かになって、その中に「恋」「愛」まで含まれるようになった代わりに、私たちは一人の人のために費やす時間や手間からくる思いの深まりが見えなくなってしまった。

そして、その相手を本当に愛しているかどうかもわからないまま「〇〇だから好き」とか取ってつけたような理屈をつけて付き合ったり、結婚したりして、すぐに別れてしまう。

「恋愛」というものに対して、こんな「虚無感」のような感覚を覚える私にとって、この「四月になったら彼女は」は一種の警鐘を鳴らしてくれるような、大切な感情を思い出させてくれるような作品でした。

まとめ

  • 川村元気さんの作品には「失われてから気付く尊さ」が描かれている。
  • 優れた情景描写が魅力
  • 「四月になれば彼女は」は、「恋」の失われた「恋愛小説」
  • 恋愛に「虚無感」を覚えた現代をうまく投影している

 

「パートナーのことが本当に好きかどうかわからない」「人を愛することに飽きた」と思う人にオススメしたい本です。

きっと読み終えた時、もう一度「恋」に向き合ってみようと思えますよ!

川村元気さんの作品は、初小説の「もしも世界から猫が消えたなら」や、対談本「仕事。」など、今後も読んでいこうと思います!


四月になれば彼女は (文春文庫)

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